ここでは軸付きゴム砥石の使い方の実践的な内容について解説します。
ゴム砥石の基本的な使い方は、軸付きゴム砥石の使い方 準備編【使用する機器・取付方法】 のページをご覧ください。
軸付き砥石を回転機器に取り付け、ドレスをして砥石を整えたら、作業を開始します。
ゴム砥石で作業する前に以下の事項をチェックしていただき、安全性を確保してください。
作業前にもう一度確認 ① 服装
加工中発生する粉塵や削りカス、万が一の砥石や機器の破損から、身を守る事は非常に重要です。
ゴム砥石に限らず、電動工具、回転工具を使用する際は、フェイスガード、保護メガネ、保護手袋、マスク(防塵マスク)、作業衣などの保護具を必ず着用して下さい。
ご家庭内の簡単な作業でも、目や顔を守る安全メガネやフェイスガード、粉塵の吸引を防ぐマスク、皮膚の露出を抑える手袋、長袖長ズボン等の着用を強く推奨します。
作業前にもう一度確認 ② 作業環境
研削・研磨加工は思った以上に多くの粉塵や、削りカスが飛散します。
屋内作業はもちろん、屋外作業でも周辺の養生や、掃除用具、水洗、可能であれば集塵機やエアブロー等をご準備下さい。
ゴム砥石のあて方
ゴム砥石を加工物にあてる時は、使用する工具や加工対象の大きさ等で方法が異なります。
ペンシル型のリューターとハンドグラインダー等の強い機器を使用する際のゴム砥石のあて方を解説します。
ペンシル型の場合
小さいものや細かい部分の加工には、ペンシル型のリューターが適しています。
加工対象が小さく、持ち上げて保持出来る場合
回転機器をエンピツを持つ様に保持します。
回転機器を持つ手の薬指と小指を伸ばし、加工物を保持する指と合わせて挟み込むと安定します。
加工対象を持ち上げられない場合
回転機器を持つ手の薬指と小指を伸ばして支えにし、軸にすると安定します。
ハンドグラインダーの場合
大きなものや強い力が必要な時は、ハンドグラインダー等の機器が適しています。
脇を締め、手は小指から順に、雑巾を搾る様に締める様に力を加えます。親指と人差し指は、軽く押す程度にします。
また、加工物は動いたりずれたりしないように万力やバイスで固定する事を推奨します。
親指と人差し指の力で抑えようとすると、手や腕が疲れやすく、細かいコントロールもききにくくなります。
手首を振ったり、返したりする動作は、保持する力が逃げやすく、また意図せず機器が加工物に接触する事があります。
ゴム砥石を使った研削作業のコツ
1.最初は目立たない場所に少しだけ当てて、具合を確認して下さい。
初めて使う加工物に対しては、ゴム砥石がどのように作用するかを確認しましょう。
加工面に問題がなければ本格的な作業に入ります。
2.加工物が凹まないようにゴム砥石の角を丸くする
新しい砥石を当てるときに砥石の角を柔らかい加工物に当てると、加工物を掘ってしまう事があります。
その場合はドレスを行って角を丸くするなどして、点当たりをしない様にすると掘り込んでしまうミスを防げます。
3.ゴム砥石を強く押し付けない
ゴム砥石にはゴム弾性があり、加工物に沿って変形しますが、過度の変形は急速な砥石の劣化、消耗、破損を招き危険です。砥石を軽く抑える程度から始め、少しずつ様子を見ながら押し付ける強さを調節して下さい。
※砥石が反ったり、曲がったりする程力を加えないで下さい。
※砥石が消耗し、細くなると強度が低下します。押し付ける力を弱める、回転速度を下げる等、負荷を下げてご使用下さい。
4.砥石の回転速度を変更して下さい
砥石の種類、加工対象と加工目的により、最適な回転速度は異なります。
回転速度が変更出来る機器をご使用の際は、砥石の許容回転数を上回らない範囲で最適な値を見つけて下さい。
熱伝導率が低い(熱がこもり易い)加工物、難削材とされる素材を加工する場合、回転速度を遅くして下さい。
摩擦熱が蓄積し易く、加工物の焼け、溶け等の不良や、砥石の結合ゴムが燃焼し急速な消耗が発生する事があります。
このような場合は、時間を空けて加工したり、冷却風、冷却水を用いる等も検討して下さい。
例:チタン合金、ステンレス系素材、耐熱鋼、ゴム・プラスチック類等
熱伝導率が高い素材の場合、回転速度は作業性等を狙い、高速に設定する事が可能です。
例:軟鉄・鋳鉄・炭素鋼・アルミ合金・銅・真鍮等
硬い素材を加工する場合、粗い番手を使っても削りが少なく、仕上がりが細かくなる傾向があります。
逆に柔らかい素材を加工する場合、砥石が強く作用しますので、仕上げるにはより細かい番手が必要となります。
5.砥石は常に動かしながら使用して下さい
ゴム砥石の一点だけ当て続けると、その部分だけが消耗、目詰まりし、均一な加工能力が発揮できなくなります。
また、砥石がいびつに変形し思い通りの加工をしにくくなります。
加工物の一点に砥石を接触させ続けると、対象を掘ってしまったり、摩擦熱の蓄積で焼け、溶けが発生する事があります。
6.ゴム砥石の送り方向
砥石の送り方向(砥石を当てる際に動かす方向)は、常に回転方向に逆らう向きで一定の速度で動かして下さい。
加工目、研磨目がより綺麗に出やすくなります。
7.砥石を作業に合わせて交換する
砥石の種類や番手を作業に応じてどんどん交換しましょう。
粗い砥石で仕上げる事は出来ません。細かい砥石で削りこむのは非常に時間がかかり、作業ムラの原因になります。
砥石を交換する事で結果的に早く確実な作業が可能になります。
ゴム砥石の実践的な使い方についてご紹介しました。
ご質問・ご相談はダイテックジャパンまでお気軽にお問合わせください。