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軸付きゴム砥石の使い方 準備編【使用する機器・取付方法】

ゴム砥石の使い方 準備編

ゴム砥石が得意とするのは、「中研磨、中仕上げ」と言われる、少しだけ削り、面を整える作業や、最終仕上げ一歩手前まで磨く作業です。

  • 金属表面のサビ・汚れ取り
  • 粗い砥石でガリガリ削られて荒れた部分の面直し
  • ツールマーク、カッターマーク除去
  • 鋳肌除去 など

プラモデルのランナー位の凸を削り落としたり、コンマ数㎜以下の荒れやがたつきを均し、ある程度まで磨くのが主な用途になります。
形を大きく変えずに磨きたい、ある程度まで仕上げたい作業では、一気に削らないゴム砥石は大変有効です。

ゴム砥石は手に刺さる様な大きく鋭いバリの除去、大きく削り形を変える作業など、火花を散らしながら激しく削る作業は苦手です。
その様な作業では、粗い番手のゴム砥石より、ビトリファイド砥石、レジノイド砥石といった石のように硬い砥石が向きます。

また、顔が映り込む様な鏡面仕上げも難しく、細かい番手のゴム砥石でも曇りガラス程度が限界です。液体研磨剤やバフなどをご使用下さい。

ここでは、ゴム砥石の使う時の準備編として「使用する機器」「砥石と機器の取付け方法」「作業前のチェックポイント」「砥石のドレス(ドレッシング)」について解説します。

安全で正しいゴム砥石の使い方として是非参考にしてください。

ゴム砥石で使用する機器

軸付きゴム砥石は、主に回転機器を使用した作業を想定しており、用途や業種に応じて多種多様な機器がラインナップされています。ここでは代表的な機器をご紹介します。

回転機器

動力の違いで、電動タイプとエアータイプに大別されます。
一般的に大きい両手持ちはグラインダ(※ジスクグラインダとは異なりますのでご注意ください)、小さいペン型はリューターなどと呼称される事が多いですが、特に決められた呼び名は無く、各社によってまちまちです。

※ミニグラインダ、マイクログラインダー、回転主軸、ホビールーター、ハンドリューター、ハンドグラインダー、スピンドル、マルチルーター・・・など

電動タイプ(小型)

一般的なペン型リューターの構成
一般的なペン型リューターの構成

主にペン型など、片手で使用する小型電動タイプです。
ホームセンター、100円ショップなどで入手できる安価な製品から、歯科技工、彫金・宝飾・時計業などのプロ用まで、様々なものが流通しています。

高価なものは高精度。高トルク・高回転が可能であり、さらにこれらを緻密に調整したり、電流値を管理して負荷調整をしながら加工が出来るなど、性能が良いものになります。
主に2.35㎜軸 3㎜軸製品が主流です。
20000rpm~30000rpmくらいのものが使いやすく、速度調整機能がついていると非常に便利です。

電動タイプ(大型)

主に両手で持って使用するタイプの回転機器です。
小型なペン型と比較し、圧倒的なトルクで強力に加工ができます。
多少の抵抗をものともしない大パワーが魅力で、削り代が大きい作業、深いサビ取りや大きいバリ取りには持ってこいですが、大きく強力な分、細かい取り回しが難しく、小加工、小さい物の加工には不向きです。
取り付ける砥石も6㎜軸以上の大型の物が多く、大きく重くなりがちなので、取扱いは十分に注意が必要です。

エアータイプ

エアー式の構造
エアー式の構造

コンプレッサーなどで加圧された空気をタービンにあて、その回転力を利用する方式です。
トルクが弱く、特に高負荷時に回転が安定しない、コンプレッサーやエアータンクが必要で導入の敷居が高い、回転速度の制御が難しく、厳密な調整は出来ない事が難点ですが、超高速回転が可能、電気配線が不要で取り回しが有利、回転部を小型に出来るのでハンドピースが軽量、電動と比べて機器全体が比較的コンパクトなどメリットも多く、近年は高トルクタイプも登場しており、活用の幅が広がっています。

電動タイプの機器を推奨します

ゴム砥石は高速回転に不向きで、回転速度で作業量を稼ぐより、速度を抑え、適切な押しつけと回転トルクを活用する方が向いているので、弊社は電動タイプの使用を推奨しています。

ゴム砥石を取付ける際の注意点

①機器の電源をOFFにする

取り付け・取り外しの前に、必ず電源スイッチをオフにする、プラグを電源から抜くなど、意図せず動作しない様にご注意下さい。

機器の電源を切る

②機器の回転速度・砥石の許容回転速度

機器の回転速度と、取り付けるツール(砥石)の許容回転速度を確認し、必ずツールの許容回転速度以下となるようにしてください。

砥石の許容回転速度

③ツールの軸径・軸仕様と、機器の対応

砥石の軸径(2.35㎜ 3㎜ 6㎜)と、回転機器のチャック部を確認し、それぞれが対応している事を確認して下さい

ツールと砥石のサイズの確認

④破損・異常などの確認

砥石の割れ、欠け、変形、消耗を確認し、異常がある製品は使用しないで下さい 

欠けのあるゴム砥石
割れているゴム砥石

ゴム砥石と機器の取付方法

ゴム砥石の取付方 ①
機器に取り付ける際は、機器の取り扱い説明書に従い、正確に取りつけて下さい

ここではワンタッチチャックで固定しています

ゴム砥石の取付方②
取り付ける際、軸、チャックにゴミや異物が付着していないかを確認して下さい。

特に作業中に砥石を交換する場合、画像の様に削りかすが付着しています。
このまま砥石を交換すると、異物を咬み込んでしまい、ロック機構の損傷や、砥石振れの原因になります。

砥石を取り付ける軸にゴミが溜まった様子
研磨粉塵が堆積した状態。エアブロー等で清掃して下さい。
ゴム砥石の取付方③
砥石をチャックの根本まで差し込み、ロック解放、再ロックまでの動作を確実に行ってください

スパナで固定するタイプ(特にエアータイプに多い)は、締過ぎ、緩過ぎにご注意下さい。

軸と砥石をロックした状態
軸と砥石をロックした状態
ゴム砥石の取付方④
フェイスガード、保護メガネ、保護手袋、防塵マスクなどの保護具の着用、機器のガード類の取り付けを必ず行ってください。

作業開始前のチェックポイント

砥石の振れ、機器の状態の確認

一気に最高速度で回転させずに、スイッチのオンオフや、調速機能を使い、低速で回転を始め、徐々に回転をあげてゆき、砥石の振れ、機器の状態を確認して下さい。

振れがある時の確認事項

以下の項目を確認してください。

砥石に異常がないか?

砥石の割れ、欠け、破損、過度な消耗がある場合は使用を止め、砥石を交換してください。

機器に異常が無いか?

よく整備・調整された機器をご使用下さい

取り付けに異常が無いか?

ゴミ、異物の咬み込みや、締め付けトルク不足又はトルク過多、砥石軸の差し込み不足、固定不十分などを確認して下さい

ドレッシングを行う

砥石をワークに当てる前に、必ず砥石のドレスを行って下さい。

ゴム砥石のドレス(ドレッシング)

砥石や機器、固定方法が正しくても、機器や砥石のクセ、わずかな偏りにより、回転する砥石が均一に当たらない事があります。

画像は新品の砥石をドレスせずに使用した為、ビビリが発生したものです。
砥石が振れているために、砥石や研磨面に波打った様な跡が出来ます。
砥石が研磨対象に叩きつけられる様に接触するので、研磨面が綺麗にならず、強い振動で余計に振れて、破損する危険もあります。

また、使用に伴い砥石が消耗し、砥石や軸の重心がずれたり、形状が大きくかわってしまう場合もあります。
これを除去(ドレス)せずに作業を行うと、研磨面が綺麗にならないばかりか、砥石や機械が破損、事故につながる恐れがあります。

砥石がブレている
砥石がブレて見える
変形した砥石
砥石が消耗し大きく変形している

回転させた時に、強い振動が手に伝わる、砥石がブレて見える、使用した際に砥石の一部分だけが接触し変色する、うなるような回転音がする状態は、砥石のバランスが崩れたまま回転している為、ドレスが必要です。
ドレスせずに使用を継続すると、砥石の片減りが生じたり、最悪砥石が破損する可能性もあり、大変危険です。

砥石のドレス方法

砥石を低速で回転させ、ドレッサーに押し当てて少しだけ削る→少しだけ回転を上げてさらに削る→回転をさらに上げて・・・を数回繰り返します。
加工物に当てた時に、振れやビビリが発生しなくなるまで行ってください

専用ドレッサー

専用のドレッサーや、ドレッサー砥石を使用する事をおすすめします。
使わなくなった粗い砥石や、その辺のザラザラの石を使ってドレスする事もできますが、無理に行うと砥石や機器を破損する危険がありますのでおやめください。

使用中、切れ味が鈍ったなと思ったり、形状が変わってしまい、使い勝手が悪くなった場合など、定期的・こまめにドレスを行う事をおすすめします。

ゴム砥石に関するご質問・ご相談はダイテックジャパンまでお気軽にお問合わせください。